〜狐・牛・鼠・蛇・鶏・龍・八咫烏まで、神社で出会える“守り神の仲間たち”〜
はじめに|神様のそばには、動物がいる
神社を参拝するとき、鳥居や狛犬、拝殿などの風景とともに、私たちはよく“動物たち”の姿を目にします。お稲荷さんの狐、天神さまの牛、出雲の鼠――これらはすべて「神様に仕える存在」、つまり“神使(しんし)”と呼ばれる神聖な動物たちです。
神使は、神様の意思を伝える「メッセンジャー」であり、神域を守る「守護者」でもあります。その姿には意味があり、また信仰の背景にはそれぞれの物語が存在します。今回は、神社でよく見かける代表的な神使たちをご紹介しながら、それぞれの特徴やご利益についてやさしく解説していきます。
神使とは?|神様のお使いという存在
神使とは、神様の意思を人々に伝えたり、神域を守ったりする“神様の使い”のこと。神そのものではありませんが、神様にとって欠かせない存在です。古くは神話や自然信仰の中で、神と動物が深く結びついてきた歴史があります。
白い動物が神聖とされるのは、目立つ=隠しようがない=「ウソがない」存在として清浄さの象徴とされたため。神使には白い狐、白馬、白蛇などがよく登場します。
また、神使が現れると「神様からのサイン」と受け止められることも多く、夢や日常の中にその姿を見かけた時、特別な意味があるとされることも。
神使たち7選|神様の“仲間たち”をご紹介
① 狐(きつね)|稲荷神の神使
もっとも有名な神使のひとつが、狐です。稲荷神(宇迦之御魂神/うかのみたまのかみ)に仕えており、五穀豊穣・商売繁盛をもたらすとされます。狐自体が神様と思われがちですが、あくまで“神様のお使い”という位置づけです。
伏見稲荷大社をはじめ、日本全国のお稲荷さんで見かけることができ、口にくわえているのは稲穂・玉・鍵・巻物など。それぞれに意味があり、豊かさや知恵、繁栄を象徴しています。
狐は神聖な存在であると同時に、人間と神との橋渡し役でもあるのです。
② 牛(うし)|天満宮の神使
学問の神様・菅原道真公を祀る天満宮では、牛が神使とされています。これは、道真公が牛に縁のある人生を歩んだこと、そして亡くなった際に棺を引く牛が動かなくなった場所にお墓が建てられたことなどが由来です。
天満宮にある「撫で牛」は、痛いところや頭をなでると健康や知恵を授かるといわれ、今も多くの受験生や家族連れが訪れます。
牛の穏やかで力強い姿は、道真公の人格とも重なるものがあります。
③ 鼠(ねずみ)|大国主命の神使
出雲大社の主祭神・大国主命(おおくにぬしのみこと)に仕える神使が鼠です。神話の中で、大国主命が火攻めに遭ったときに鼠が現れ、地下の逃げ道を教えて命を救ったとされます。
そのことから、鼠は忠義の象徴・災難除けの存在として信仰されるようになりました。小さな体ながら、勇気と知恵を持ち、人を助ける神使として親しまれています。
④ 蛇(へび)|弁財天・水神の神使
弁財天や宇賀神、または水神に仕える神使として知られるのが蛇、特に「白蛇」です。白蛇は金運・財運・再生の象徴とされ、神秘的な存在として崇拝されています。
巳の日(みのひ)に弁財天を参拝すると金運が上がるとされ、銭洗弁天や弁財天社では白蛇の置物や姿絵が人気です。
くねくねと姿を変えながら生きる蛇は、「変化・脱皮・再生」の象徴でもあり、人生の転機に現れる神使ともいわれます。
⑤ 鶏(にわとり)|天照大御神の神使
天照大御神(あまてらすおおみかみ)が天岩戸に隠れた神話で、外に出てきてもらうために鳴かせたのが鶏でした。そのことから、鶏は“光を呼ぶ鳥”として神聖視されています。
また、朝を告げる存在として「始まり」「再生」の意味を持ち、新年の初詣や暁の祈りなど、節目の参拝にも登場することが多いです。
伊勢神宮や高千穂神社などでは、実際に鶏を飼っている例もあります。
⑥ 龍(りゅう)|水神・自然神の神使
龍は水を司る神・水神の化身として信仰されています。日本では農業や山岳信仰、水源信仰と深く結びつき、「雨を呼ぶ存在」「自然の循環の守り神」として祀られます。
箱根神社の九頭龍伝説など、全国には龍神をまつる神社が多く、特に水に縁のある神社で龍の像や水口を見ることができます。
龍の姿を見かけた時は、変化や大きな流れの前兆ともいわれ、スピリチュアルなメッセージ性も強い存在です。
⑦ 八咫烏(やたがらす)|導きの神使
八咫烏は熊野大神に仕える三本足のカラスで、「導きの神使」として知られています。神武天皇が東征の際、熊野から大和へと導いたのが八咫烏とされ、その姿は“正しい道へ導く存在”の象徴です。
サッカー日本代表のエンブレムにも使われており、現代でも人気の高い神使のひとつです。
ちなみに私は、八咫烏のあのミステリアスでかっこいい雰囲気がなんだか好きかも。三本足の意味を知ると、ますます惹かれてしまいます。
🔍 八咫烏の三本足の意味とは?
八咫烏の三本足には、いくつかの神秘的な意味が込められています。
- 「天地人」の三位一体:
- 天=天の意思
- 地=地上の現実
- 人=人間の行動や選択
- 過去・現在・未来を見通す存在:
- 三本足は時間軸を超えた広い視野の象徴ともされ、人生の分岐点に現れ、導きを示してくれる存在として信じられています。
- 太陽の中に住む霊鳥(中国神話由来):
- 三足烏(さんそくう)という中国神話の太陽神話に登場する鳥が元になっているともいわれ、日本の八咫烏にもその神秘性が重なっているのです。
このように、三本足には「導き」「時間」「宇宙の調和」という壮大な意味があり、八咫烏がただの神使ではなく、非常に霊的で高次な存在であることがうかがえます。
神使に注目すると、神社がもっと楽しくなる
神社には神様だけでなく、神様に仕える動物たち=神使がたくさんいます。それぞれの姿やエピソードには意味があり、ご利益とも深く結びついています。
お参りのとき、神様だけでなくそのそばにいる動物たちにも目を向けてみると、今まで見えていなかった神社の魅力が見えてくるかもしれません。
※この記事は文化的・スピリチュアル的観点に基づいた読み物です。特定の効果を保証するものではありません。
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